【時報No.604】遠くへ行くならみんなで行け

セーヌ川を航行する1万人の選手たち。彼らのパフォーマンスが世界中に勇気と感動を届ける、熱い17日間が始まりました。今年で33回目の開催となる夏季五輪。日本からも史上最多の409人が参加し、日本中の期待も高まっております。

そんな五輪を盛り上げるのは選手だけではありません。それは、前東京大会の「ミライトワ」に続く、「フリージュ」というマスコットキャラクターです。フランスの名画「民衆を導く女神」に描かれる「フリジア帽」をモチーフとしており、フランスの自由と革命を象徴しています。特徴的なのは、オリンピックとパラリンピックのマスコットが共に「フリージュ」であるということ。オリ・パラで同じモチーフのキャラというのは、史上初だそうです。2体のモットーは「ひとりだとしても速く行ける。一緒ならもっと遠くにいける。」オリ・パラだけでなく、世界中が共に協力していこうという想いが込められています。

ところでこの言葉、どこかの演説で聴いた人もいるのではないでしょうか。実は、3年前に岸田総理が初信表明演説にて使用されておりました。アフリカのことわざだそうで、2007年のノーベル平和賞受賞式で、アメリカのアル・ゴア元副大統領が取り上げて有名になりました。

世の中に会社や学校があるように、私たちは集団でこそ発揮する力があります。1人で勉強するよりも、互いに教え合い、競い合うことで、勉強は捗ります。また、1人ではできない大きな仕事も、会社という組織が協力することで、日本中に影響を与えることもできます。

人間だけではありません。渡り鳥がとても遠い島まで飛べる理由にも、この言葉が当てはまるのです。渡り鳥は必ず、隊列を成して島を渡ります。その際、1羽の鳥がずっと先頭で飛び続けると、風の抵抗が強く疲れ果ててしまいます。そこで渡り鳥は、先頭のポジションを交代しながら全員で協力して飛んでいるのだそうです。まさに、「遠くに行きたいからみんなで飛ぶ」体現していますね。

一方で、繋がりすぎた人間関係に悩むことも多いでしょう。気を遣いあったり、誰かの歩幅に合わせたり、速く進みたくても進めないもどかしさもあります。自分勝手に進んだ方が、きっと気も楽なんだろうと思います。しかし、当たり前ですが、私たちは1人では生きていけません。助け合い支え合うことでしか辿り着けない世界があるのです。その当たり前に感謝し、共に進むための勇気ある一歩を、この五輪を機会に踏み出してみませんか。

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